「研究法」~愛知大学×emCAMPUS FOOD~(前編)

愛知大学 地域政策学部 食農環境コースの学生向け講義「研究法」とemCAMPUS FOODがコラボレーションすることになりました。
この「研究法」は、同コースの2年生を対象とした4〜7月までの全14回にわたって開催する講義で、「農(に係る生産者やその生産現場)」から「食(素材の卸売から売場)」までの一連の流れと、環境との関連性を、一連のコンセプト(食材やテーマ)に沿って学ぶことを狙いとし、この機会を通じて「食・農に係る地域の特徴と現状を学び、地域の食・農の魅力を発見し、成果物に変えて発信すること」を目的としています。
4月19日の開講から6月7日時点で計8回の講義が終了。今回は折り返し地点ということで、「前編」として、各講義の当日の様子と、講師を務めていただいた各生産者の皆さんのお話の一部をお届けいたします。

第一回/講義の進め方について(4/12)

今年の「研究法」を受講する学生は総勢22名。初回の講義はこれから約3ヶ月にわたる講義の目的や流れだけでなく、豊橋市や田原市を中心とした東三河地域の農業の実態や特徴を、愛知大学地域政策学部の岩崎教授、山口准教授より説明されました。

第二回/東三河フードバレー構想とemCAMPUSの狙い(4/19)

講師:ホテルアークリッシュ総料理長 今里 武氏

第二回は会場をemCAMPUS FOOD に移し、ホテルアークリッシュ総料理長の今里氏を講師に迎え、東三河フードバレー構想(以降:FV構想)とemCAMPUSの狙いについてお話されました。
今里氏は、これまで自身がホテルアークリッシュで手掛けてきた地産地消の料理や生産者との取り組みと共に、東三河地域を食や農のチャレンジャーで溢れる「フードクリエイターの聖地」とするというFV構想のビジョン、そして未来のチャレンジャーのステージがこのemCAMPUSであることを説明されました。

講義の後半は屋上農園に場所を移し、本農園の運営をキッカケに発足した生産者団体『農民藝術創造倶楽部』と、この農園の意義についてご案内されました。

【ホテルアークリッシュHP】 

第三回/生産者の現状(東三河の有機農業)(4/26)

講師:吉田園 代表 吉田 章訓氏

第三回目は田原市で農業を営む吉田園の吉田氏による講義を実施。吉田園の野菜は抗生物質を与えない豚の糞を堆肥として使用し、丁寧に育てられた無農薬栽培。ニラやほうれん草、玉葱などを栽培しており、中でもほうれん草は青果物の味を競う「野菜ソムリエサミット2015」において、「日本で一番美味しいほうれん草」として見事受賞。
コロナ禍で厳しい状況の中でも、自身の農業をいかに持続可能にしていくか、品質の改良だけでなくプロモーションや販路をどう拡大するのか、またその難しさなど語っていただきました。

【吉田園 facebook】

第四回/生産者の現状(東三河の野菜・果実)(5/3)

講師:河合果樹園 代表 河合 浩樹氏

 第四回目の講師は「皮まで食べられる無農薬(化学農薬、有機農薬不使用)レモン」の栽培を実現した、豊橋市の河合果樹園 河合氏が登壇。河合氏は農業関係の数々の受賞歴をほこり、またemCAMPUSの屋上農園の運営に係る『農民藝術創造倶楽部』の顧問も務め、この地域で農業を営む凄腕の生産者からも一目を置かれる存在です。
河合氏からは、現状の地球環境(温暖化)がもたらす農業への影響や生産者の地位向上などについて説明いただきました。そして「物事を始めるうえで最も大切なのは、それをどう売るか(出口戦略)が大切」だという点。そして、PDCAで大切なのはP(計画)から始めるのではなく、D(実行)から着手すること。「何事もやってみなければわからない。まずははじめてみて、失敗したら修正していけばよい」と学生に向けてメッセージを送っていただきました。

【河合果樹園 HP】

第五回/生産者の現状(東三河の畜肉、鴨)(5/10)

講師:有限会社 鳥市精肉店 代表取締役 市川 勝丸氏

豊橋駅前にて創業80年を超える老舗精肉店、鳥市精肉店の市川氏に第五回目の講師を務めていただきました。
鳥市精肉店では、2013年より愛知県唯一のブランド鴨「あいち鴨」の飼育を開始。このあいち鴨はミシュランの星付きレストランやJALのファーストクラスの機内食、G20サミット(2020年)の晩餐会のメニューにも起用されたブランド鴨。
市川氏は家業の精肉店を継承するために2011年ごろより事業を開始。「ビジネスモデルとビジョンを明確に持つことが事業で成果を出すためには必要であると説明されました。また、将来的にこのあいち鴨が「愛知県が誇る農産物になれば……」と抱負を語っていただきました。

講義の後半ではあいち鴨を学生の目の前で解体し、実食させていただきました。噛めば噛むほどコクと風味が口の中いっぱいに広がる確かな味。はじめて鴨を味わう学生も多かったようで、「美味い!」という声が教室に響いていました。

【鳥市精肉店 HP】

第六回/生産者の現状(東三河の水産)(5/24)

講師:山本水産株式会社 専務取締役 山本 大輔氏

第六回目は蒲郡市 形原漁港で鮮魚や干物などの水産加工品の卸売り事業、小売販売を手掛ける「味のヤマスイ」こと、山本水産株式会社の山本氏による講義。
これまで売上の主力であったホテルや飲食店がコロナ禍で低迷する中、同社の経営にも小さくない影響がありつつも、一方でインターネット通販や屋外レジャーの景品需要などが伸びており、従来の売上構成のバランスが崩れてきたと山本氏。
また蒲郡の水産業の課題としては「漁獲量」と「魚価」の2つが低迷しており、観光業としては同市にキラーコンテンツがないという点が課題だと挙げられました。この課題を打破するため、自身も参画する蒲郡市観光協会が主導となり、愛知県下で4つしかない「沖合底引き船(すべて蒲郡)」で引き上げられる「深海魚」の特徴や美味しさの魅力を引出し、それをどう発信するか。そして現在、全国からも注目される竹島水族館や地域の飲食店・小売店と連動させることで水産業と観光業の双方を盛り上げていく「まちじゅう食べる水族館プロジェクト」の取り組みなど、現在、未来について語っていただきました。

【味のヤマスイ HP】

第7回/卸売市場の現状(青果)(5/31)

講師:大一青果株式会社 代表取締役社長 高橋 伸育氏

過去数回にわたり農業・漁業・畜産業などの生産現場を中心にご活躍される方々に登場してもらった中、今回は豊橋市を中心に生産者と店舗・消費者をつなぐ「卸売市場」を展開する大一青果の高橋氏を講師としてお招きしました。
高橋氏の講義は、市場の歴史や市場の仕組みと流通、フードロス、今後の市場の存り方の計4点がテーマ。高橋氏は「高度経済成長と共に市場も八百屋も発展してきた中、昭和〜平成にかけて八百屋が衰退。また食の多様化などを理由に取引量が減り、市場も縮小している実態を説明。更には少子高齢化の流れや儲からないことを理由に農業を辞める方も増え、一つの農家の栽培面積が増えたことにより「大規模農家化」している実情があるとのことでした。「そういった時代背景の中でも、品種改良を進めて少量でも高品質の素材を生み出しブランディグを進める農家も増えてきている。今後はそういった農家の方と連携し、消費者が求める素材を共に考え、そして販路を拡大させてあげることが市場の役目だ」と強く語っていただきました。

【大一青果 HP】

第8回/中間まとめ〜振り返り〜

過去数回にわたって生産現場に係る皆さんから学んだ素材の魅力や取り組みについて振り返ると共に、それをどのようにまとめ発信していくか。各班に分かれ、それぞれの生産者さんの魅力を模造紙に落とし込む作業を実施。
6月からは各班に分かれ、学生の皆さんが各生産者さんの現場へ訪問(実習)します。講義の中だけでは確認しきれなかった魅力を実際の現場で感じ取り、最終の成果報告へとつなげていきます。7月は成果報告に向け、講義と現場実習の内容を踏まえ、各生産者さんやその素材の魅力を積み上げ、どのようにプロモーションを行うか、アウトプットの製作を進めていきます。


後編は8月の配信を予定。学生の皆さんが学び、感じ取った東三河の農・食の魅力をどのような形で発信されるのか、乞うご期待ください!