『STUDIO Tea talk #06』 ゲストはコーヒー農園経営 池島英総さん

自分らしい働き方や仕事について考えるトークイベント『STUDIO Tea talk』の第6回が、2022年12月21日(水)、emCAMPUS STUDIOで開かれました。
今回は、副業を検討中の方をはじめ、すでに事業を営んでいる方、ゲストが経営するお店のファンなど9名にご参加いただきました。

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池島さんの経歴

ゲストの池島英総さんは豊川市出身。
バックパッカーとして世界中を旅して学生時代を過ごしました。
大学卒業後は豆腐の製造機メーカーに入社し、海外事業部で勤務しますが、数年後に退職。
2007年、これまで行ったことがなかったネパールに渡り、翌年、現地の生産者180名とともにコーヒー栽培をスタートしました。
化学肥料や農薬を使わず、ネパールに適した栽培にこだわり、たどり着いたのがアグロフォレストリー(森林農法)。
コーヒーノキの樹間にジュナール(ネパール原産のスイートオレンジ)やバナナ、シナモン、ハバネロなどさまざまな作物を育てることで、コーヒーノキを日光や虫から守っています。
2013年、豊川市に農園直営の飲食店『mol café(モルカフェ)』をオープン。
2018年には農業ブランド『FARMERS PASSION』を立ち上げ、コーヒーだけでなく、ハーブや果物を使った商品を栽培、製造、加工、販売を手掛けています。

当日は、ネパールから来日中のスタッフのウビットさんも一緒にご参加いただきました。

池島さんは、現地の新聞で『ネパールで活躍する外国人10人』に選出されたり、朝日放送テレビの『世界の村で発見!こんなところに日本人』に取り上げられたり、とメディアでも注目されています。自らで道を切り拓いてきた池島さんの思いに迫ります。

ネパールへの思い

世界で一番高い山、知ってますか?
そうです、エベレスト。チベット語ではチョモランマ。
ネパール語ではサガルマータといいますが、知りませんよね。
世界一高い山に登る人たちはいつも、ネパールから登山するのにサガルマータという言葉を知らない。それが悔しくて。

例えばネパールで製造したものでも、生産国の名前は知らないけど、英語のブランド名は知っている。そういった流通の過程を踏んできている。
現地でつくったものが現地の国の言葉で流通するように、生産者と消費者の距離が近くなるようにと願って仕事をしています。
だから、今日はできたらサガルマータという言葉を覚えてもらえたら嬉しいです。

「人生で重きを置いてきたことは?」

あんまりちゃんと考えずに生きていて、今日のこの資料も1時間前に完成しました(笑)
すぐさぼっちゃうし、怠けちゃうし、今だからこんなんですけど、大学生のときはもっとひどかった。
「なぜみんな真剣に働いているんだろう」って全然分からなくて、旅行しながら聞きにいったことがあるんです。
当時はモンキーっていう小さい50ccのバイクに乗って走りながら、会う人会う人に「なぜ働くんですか」「どうやってテンションを上げていますか」と聞いて回りました。
たいていの人は意外と頑張ってテンションを上げているんですよ。
音楽を聴くとか、温泉に行くとか、いいご飯を食べるとか。

そのとき思ったのが、僕、こんな仕事しているから好奇心が強いでしょ、とすごく言われるんだけど、そんなことない気がするんですよ。
ただ、好奇心があったほうがいいかなとは思っています。
好奇心を大事にする気持ちを大切にしています。

今、人生で重きを置いていることっていうと、「こうありたい、こういう人になりたい」って思った人が大切にするだろうことや気持ちを想像して働くようにしています。
どういう人間かということよりも、どうなりたいかってことを大事にしています。
まだ40歳だし、これからどんどん変わっていくかもしれないですけど。
まだまだ成長期だと思って毎日を過ごしています。

「学生時代にやっておいてよかったことは?」

先日、出身の国府高校で生徒に向けて話をする機会をいただいたんです。
働く原動力がなかった僕に「原動力になるようなことは何か」ということを話してほしい、と。

参加者の方からも「夢を持たない若者が増えてきた」という発言がありましたね。
バックパッカーやヒッチハイクをしていたときに「あなたの夢は何ですか」と問い続けたこともあります。
そのときに、絶対に間違っているなと思ったのは「将来の夢」を聞くと職業を答えるんですよ。
職業に就いてからのほうが長いのに。
僕はコーヒーを提供しているけれど、コーヒーを通じて社会とつながって、どういう世の中をつくっていきたいのかが大事だと思っています。
例えば、カフェをやるのが夢という人がいたとすると、大切なのは「どうやって世の中に貢献したいか」「どういう世界をつくりたいか」「どういう空間を作りたいか」ということ。

学生のうちはスーパー時間があるっていうことがメリットだから、いろいろな経験をすること。
何にワクワクして、何が楽しくなくて、何が面白いのかを知るといいと思います。
カフェのスタッフをやっていたら、お客さんにご飯を提供したとき「ありがとう」って言われる瞬間や、接客する瞬間が楽しいとか。
そういうことが働く原動力になって、自分に合っている方向に行くんだろうなと思うんですね。
スキルはもちろんいるけれど、あまり意識しなくてもいいんじゃないかな。
スキルは時間や労力もかけて身に着けるものです。
職業に就いてから、必要なスキルの勉強はいっぱいします。
僕も今だって勉強したいことが山ほどあるんですから。

「今後の展開は?」

これまで海外で仕事をしたいと思ってネパールで活動して、周りに集まってきた現地の人たちの幸せを願って、ネパールの発展のために頑張るっていうロジックでやってきました。
でも、日本がこれから後進国になるかもしれないっていわれているなかで、「日本はどうするんだ」っていうこともやっていかなくちゃいけない。
実は、日本でクラフトジンをつくりたい。
そのために、emCAMPUSの1階にアロマ屋さんと一緒にお店を出しています。
今、隣にいるネパール人のスタッフは、ワイン造りの研修のために来日しています。
ネパールでの経験を生かしながら、ネパールから日本へ、日本から世界へ出していくものを作っていければいいかな、と。

僕はネパールの田舎で活動していて、生まれ育った豊川も豊橋も大好きです。
名古屋が発展して、西三河はトヨタさんに頑張ってもらって、東三河は出遅れた感じがするんだけど、そうじゃなくてこの環境、状況を手放さなくて済んだのだとしたらメリットだと思う。
これからの日本についてですが、「成長」をキーワードにするのではなく、どうやったら上手に後退できるのかなっていうのを考えています。
経済発展も、消費もたくさんしなくていいんじゃない。
どうやって幸せに、自由になっていくのかを考えながらやっていきたい。
それを僕たちの会社とか、組織・グループで体現できたらいいかなって思っています。

個人的には仲間が増えて、家族が増えて、みんなが幸せだったらいいかなという風に思っています。

参加者の声

・「この環境を手放さずに上手に後退する」という言葉に共感しました。資本主義的な、ある意味での洗脳から自由になる必要があるとあらためて思いました。
また、「これからは僕たちの番」という言葉で、同世代の自分たちが中心になっていくんだとスイッチが入りました。

次回の『STUDIO Tea talk』

『STUDIO Tea talk #07』は2月28日(火)18:30からemCAMPUS STUDIOで開催します。
今回のゲストは、ラジオパーソナリティ/パラレルワーカーの山内誠子さんです。
新卒で大手人材紹介会社に入社後、コロナ禍をきっかけに退職。
地元豊橋へUターンし、ラジオパーソナリティのほか、3つの仕事を掛け持ちするパラレルワーカーとして活動されています。
新たな働き方を体現する20代が今思うことをはじめ、これから描くビジョンなどについて伺います。
すでに参加申し込みは定員に達し、締め切っております。
次回もぜひご期待ください!