『STUDIO Tea talk #04』 ゲストはクリエイティブアナウンサー 大久保結奈さん
自分らしい働き方や仕事について考えるトークイベント『STUDIO Tea talk』の第4回が10月31日(月)、emCAMPUS STUDIOで開かれました。
今回は新しいことを始めたい方、ワクワクしている人に出会いたい方、副業に関心がある方など9名にご参加いただきました。
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大久保さんの経歴
ゲストの大久保結奈さんは静岡県浜松市出身。
浜松西高中等部・高等部を卒業後、南山大学外国語学部に通いながら、インドネシアに半年交換留学しました。
2015年から3年間、浜松ケーブルテレビで番組制作に携わり、カメラマンやディレクター、キャスターを経験。
そこで培った番組制作のノウハウを活かし、動画制作もできるアナウンサー=『クリエイティブアナウンサー』として、浜松市を中心に活動の場を広げました。
動画制作・司会・講師業の他に、総フォロワー数25,000人のSNSを活用し、公私共に地域の情報発信にも力を入れています。
特技は英語とインドネシア語。
好きなものは浜松、酒、ラーメンです。
転機はコロナ禍!セルフブランディングの大切さに一同納得でした。心に残った内容をダイジェストでお知らせします。
「起業のタイミングは?」
新卒で入社した浜松ケーブルテレビで3年間働いていました。
この3年間は、今自分がやっていることをテレビ局の中でやっているので、会社という守られた空間で企画、編集、アナウンスもできる。すごく恵まれた環境でした。
元々地元が大好きなので、ローカル局で働くことによって地域に精通することができた。
とても楽しい毎日を送っていました。
ただ、どうしても嫌な部分も見えてしまう。
一つは知名度が低く、視聴者が少ないことです。
私が取材に行って時間をかけて撮影や編集もして、最後はテレビに出て発信をしているにもかかわらず、浜松ケーブルテレビの加入者自体が少ない。
さらに、加入者の多くはWOWOWや将棋専門チャンネル、アニメチャンネルなどを見たい方なので、私が作っていたコミュニティチャンネルはほぼ見られていない状態でした。
例えば、視聴者プレゼントで5名を募集しても、毎回1人か2人しか応募がない。
どんなに発信しても、あまり見てくれないのであれば意味がないのかな、と思い始めました。
そして、視聴者が少ないと社員のモチベーションも下がってしまって、質も下がってしまう。
入社数年の若手が、そんな状態の会社を変えるっていうのはすごく大変なこと。
「これ以上、私がここでできることってあるのかな」と葛藤が起きてしまいました。
浜松ケーブルテレビで働いた3年間は全力で企画を考えたり、独学で撮影や編集技術について学んだりとみっちりやってきたので、スキルの習得も勉強もできました。
そこで限られた空間で学び続けるよりも、独立することを選びました。
さらに、大きなきっかけがありました。
2016年にミス浜松グランプリを受賞したことです。
出場した理由は自分に自信があるとか、浜松のトップに立ちたいとかではありません。
浜松ケーブルテレビで働くことで、一年365日を通していろんな地域のさまざまなイベントの記事を書いてきたので、今度は自分が浜松の魅力を発信しようと思いました。
そうしたら運よくグランプリが受賞できたんです。
何が良かったかというと、自分の知名度が上がり、自信がつきました。
活動の幅も上がったので、行く先々で自分のPRも、浜松のPRもできるということで、かなり充実した一年間を過ごすことができました。
「独立して最初に取り組んだことは?」
アナウンススクールで一から修行し直しました。
実は、大学時代まではアナウンサー志望ではなくて、報道記者になりたいという夢の方が強かったんです。
だから、アナウンススクールに通ったことがなかったんですね。
ケーブルテレビにいた3年間は仕事で忙しくて、なかなか通えなかったのでスクールに通って、一から滑舌やリポート力を磨きなおしました。
その2は挨拶回りと営業です。
まさに、今日皆さんがここにいる場、この空間がすっごく大事なんですね。
こんな風に名刺交換会、異業種交流会に出たり、和気あいあいと話せるようなトークイベントに積極的に参加したりしました。
そこで、自分の名刺を手裏剣のごとく配りまくり、「私、アナウンサーやってるんです」「フリーアナウンサーの大久保っていうんです」というような感じで、とにかく自分のことを覚えてもらおうとした結果、いろんな方と接点を持つことができました。
なので、「何か新しいことをやってみたい」「新たな一歩を踏み出したい」という方は、まさに今日この場に来て大正解だなと思う。
その3は、ちょっと賛否が分かれるんですけど、無料でも1年間仕事を受けるということをやっていました。
独立1年目って、プロと呼べないレベルだと思っていたので、まずはどれだけ安価でも仕事を受ける。仕事をやったことが自分の実績になるので、ギャラではなく実績をたくさん積むためにどんな仕事でも受けていました。
その4は自身のブランディングです。
独立してがむしゃらにやっていた1年間が終わり、2年目ぐらいにちょっと戦略的に動こうと思いました。
1年目に関しては「静岡県でフリーアナウンサーやってます」「アナウンサーやってます」という紹介の仕方だったんですね。
でも、この静岡県では自分よりすごいアナウンサーが大勢いるんです。
静岡という大きいフィールドで、アナウンサーというくくりで戦うのは、もうちょっと後にしようと思いました。
そこで、言い方を完全に変えて「浜松大好きなアナウンサーです!」にしました。
そうすることによって、例えば「浜松 アナウンサー」で検索すると、絶対に私のSNSかプロフィール、写真も上がってくる。
浜松も70万ぐらいの人口がいるので、経済圏としても大きい。
全然戦えるな、と思ったので、ここでトップを取ろうという気持ちで、浜松に特化して自分を見せるようにしました。
なので、私がフリーになってやったこととしては、1年間は地道に頑張る、2年目でちょっと自信と実績がついてきた頃に自分の見せ方をちゃんと考え直そうということをやってきました。
「クリエイティブアナウンサー」になったきっかけは?
2018年に独立して2020年にクリエイティブアナウンサーとして事業を開始しました。
2018年のときは、主に仕事内容が司会、MCのほか、ラジオやテレビに出たり、今日みたいに講師をしたり、テレビ局のカメラアシスタントをしたり。
クリエイティブアナウンサーを始めた2020年なんですが、何か大変なことが起きましたよね?
そうです、新型コロナウイルスが日本に到来したんです。
これには全国のフリーアナウンサーが困ったと思います。
なぜなら、イベントが本当になくなってしまったから。
そうなるとこれまでの仕事は20%ぐらいにギュッと凝縮されて、司会の仕事はほぼゼロ。
ラジオなどの人と関わらないような仕事はあったんですが、講師の仕事も半分ぐらいに減ってしまい、かなり損失が出た年でした。
普通だったら、コロナが流行した1年がこのまま過ぎていくのですが……私の場合、クリエイティブ精神というのかな。
「コロナに負けている場合じゃない」という負けず嫌いな性格があったので、逆にイベントがないことが自分にとっては大きな転換期じゃないかと思って。
イベントがない代わりに、オンラインとか、動画ライブ配信に移行する企業がすごく多かったんですね。
そこで私の得意な動画を生かそうということで、クリエイティブアナウンサーとしての事業を開始しました。
自分で企画書を書いて、いろんな企業に持ち掛けて動画にうまく転換することができました。
コロナの1年間で、動画需要が一気に倍ぐらいになったんですが、そこに特化して事業を始めたことになります。
従来の仕事だった司会やMCなどの割合は収入の20%ぐらいで、その他80%の本来であれば損失だった部分を動画で十分補填できました。
新型コロナのリスクを自分でしっかりと受け止めて、「何か違うことで転換しよう」と自分の得意なことをプラスアルファして、新しい事業を作り上げたということが大きいと思います。
YouTubeでインドネシア向けコンテンツが多いのは?
▶大久保さんのYouTubeチャンネル『 Namaku YUINA!ゆいにゃのとりあえずやらまいか!』はこちら
元々、YouTubeは趣味の一環で、空き時間にやろうと思って始めました。
コロナ禍が来る前後の時期だったと思います。
ボルダリングができるホテル、ゆるキャラ、カモメの大群とかインスタ映えスポットみたいな感じで、浜松のことを趣味で発信できたらいいなと思ってアップしていました。
途中で、インドネシアのことも入れてみようかと思って。
なぜかというと、20代の日本人でインドネシア語話せる人ってあんまりいないし、コロナになって暇だし、ちょこちょこ入れていこうかなぐらいの感じで。
全く戦略的じゃありませんでした。
浜松の観光やインドネシア講座、プレゼント企画を入れたりしてやっていたのですが、長いこと続けると仕事にもつながることが分かってきました。
「うちの会社の動画を簡単でいいので作ってほしい」みたいなお話もちょこちょこ来たので、このまま続けていけるといいなと思っています。
登録者数がやっと1,000人に届いたくらいのとき、浜松に住んでいるインドネシアの男の子と2人でコラボする機会があったんですね。
そうしたら、インドネシア人って親日なので、インドネシアの男の子と日本の女の子が楽しそうに話している姿を見るのが好きっていうことで、すごくたくさんの人が見てくれて。
古い順に並べると浜松がメインなんですけど、人気順に並べると一切、日本語コンテンツが入ってこなくなっちゃったんですね。
いま、1万1,200人いるチャンネル登録者のうち8,000、9,000人はインドネシア人です。
今までプロダクトアウトといって、自分が好きなことをやってサービスにかかるかなというコンテンツだったのが、完全に求められているものに自分が入っていくマーケットインというスタイルにしました。
最近は仕事が忙しくてYouTubeが月1ぐらいでしか更新できないんですが、それでもインドネシア人の登録者が増えていく状況なので、ぼちぼち続けていければなと思ってやっています。
日本の企業でインドネシアの20代、30代に向けた製品を発信したい、売りたいという企業にとって刺さるコンテンツになってきたかな、と。
まだ、そこまで戦略的に動けてないのですが、私のチャンネルは完全にインドネシアに寄ることでそういった需要を今後獲得していけたら嬉しいな、と思っています。
参加者の声
- 大久保さんは、流石にアナウンサーだけあってお話が上手で声も素敵でした! 人前に立つお仕事ですし、良い意味で野心家だなぁとも感じました。
- 毎回、とても良い刺激をいただいています。一歩踏み出す後押しをしていただいているようで、私も頑張らねばと感じています。
次回の『STUDIO Tea talk』
『STUDIO Tea talk #05』は11月19日(土)10:30からemCAMPUS STUDIOで開催します。
ゲストは、レコード店『LiE RECORDS』店主の平松章也さん。すでに申し込みを締め切らせていただきました。
次回もぜひご期待くださいませ!
emCAMPUS STUDIO
【 T E L 】0532-57-5016
【受付時間】平日 9:00 ~ 21:00
土曜 9:00 ~ 18:00
【 W E B 】https://www.em-campus.jp/studio/
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