第2回『STUDIO Tea talk』を開催! ゲストはドライフラワーフローリスト 堀 祐次郎さん

起業家らを招いたトークイベント『STUDIO Tea talk #02』が8月31日(水)、emCAMPUS STUDIOで開かれました。
7月に開催した第1回に続いて、今回も締め切り前に満員に(ありがとうございます!)。
リピーターの方をはじめ、起業を志す会社員や進路のヒントにしたい大学生など、10代から50代の10人にお集まりいただきました。

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フラワーロス削減に向けて活動

今回お招きしたゲストの堀 祐次郎さんは、『花の生命(いのち)を永く、そして美しく』をコンセプトに活躍するドライフラワーフローリストです。
堀さんは国内で有数の売り上げを誇る雑貨店にて人材育成、店舗運営などを経験。
海外で起業し生活した中でミャンマーのインフラストラクチャーの未完状況と花き市場の美しさとのギャップに真理を感じ、廃棄されていく花に着目されます。
幼少期の経験を活かし『規格外生花』を『ドライフラワー』として人々に提供し、役目を終えたドライフラワーを堆肥に戻す循環型サービスを構築。
『SDGs』精神のもと、『フラワーロス』削減に向けて全国で活動中です。
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▼スタッフの心に残った内容をハイライトでお伝えします

受け取って欲しい思いは「使命」

幼少期からの経験とミャンマー、日本の実情を重ねて、今に至っています。
近親者の死を多く経験したことで、生命には期限があることを実感しました。
生命には期限があるからこそ、今を大事にして永く輝かせたい。
廃棄、規格外生花をドライフラワーにして、様々な用途で使えるようにデザインしています。

現在、年間で約30%にも上ると言われているフラワーロスを解消しようと活動しています。
切り花の購入額は平成9年をピークに年々減少しています。
これは、花博のような催しの減少、花を買う機会自体が失われていることが原因です。
墓じまいが進み、仏花の購入も減り、コロナの影響で冠婚葬祭も行えなくなってきました。
輪菊の生産が盛んな豊橋や田原でも、販売数がどんどん減ってきています。
生産農家さんも一年を4期に分けて生産量を変えて捨てる量を減らしたり、新しいものをつくったりして努力を続けている。
でも、日本においてはお花を買いたい人がいなくなってしまっている。
古来からある生け花の文化のように、また立ち止まって花を観る機会を創りたいと常に考えています。

今日受け取ってほしい思いは「使命」です。
命を使うと書いて、使命。
この思いをぜひ受け取ってもらえたら嬉しいです。

活動の原点は近親者の死

身近な人の死を初めて経験したのは小5のときです。
僕が生まれたときから面倒をみてくれていた祖母が亡くなりました。
その後、2、3歳から華道を教え、ドライフラワーを身近に感じさせてくれた叔母、さらに22歳のときには兄を亡くしました。
その間に祖父も他界しています。

兄の葬儀で喪主を務めましたが、参列された方が多く、偉大だったことを思い知らされました。
僕自身、兄に支えられて生きてきました。
大きな喪失感のなかで、自分には生きる価値がないのではないかと思うようになりました。
周りの人の助けがあって、徐々に回復してきましたが、「兄が生きていたらどんな人生を歩んでいたのだろう」「自分はどういう風に生きていけばいいのか」と考え続けて、「何か爪痕を残したい」と思うようになりました。
それが起業です。 会社を興して何かを成し遂げたい、そんな漠然とした理由でしたが、兄も周りの人も認めてくれるのではないかと思いました。

ミャンマーでの起業と挫折

衣料品や家具、生活雑貨を扱う会社に勤めていたとき、ミャンマーで建設重機のレンタルをやっている現地法人の社長さんから小売事業へのお誘いがありました。
現地に行ったところで、会社の方針から事業が白紙になり、その会社も辞めることに。
辞めたことをきっかけに起業しました。

主軸となったのは、古着の販売と日本語学校の建設、運営です。
ミャンマーではインフラが整っておらず、水質汚染もひどく、畑の横にゴミ山がある状態でした。
日本の大手アパレル企業によって大量生産された衣料品が販売できないと工場に残され、それを現地の人が勝手に売り出し、それでも売れないと道端に捨ててしまう。
服が積み重なる光景を見て、古着に目を付けました。

また、ミャンマーの人の生活が少しでも良くなるように、国際的に活躍できるような人材になってほしいと願って日本語学校を建設、運営していました。

一方で、目を奪われたのが花き市場とパゴダ(寺院)の美しさです。
サラリーは低くても、仏教徒なので献花の数が多く、お花にかけるお金はいとわない。
ミャンマーはお布施や寄付の金額が世界一です。
寄付することで来世、自分たちの幸せになってかえってくると考えています。
ミャンマーのお花を輸出入し、お花の文化を日本に広げたいと活動していました。
ところが、帰国して日本語学校を増やすために資金調達に奔走していたとき、雇っていたミャンマー人が全員いなくなってしまった。逃げてしまったんです。
それで会社をたたむことになりました。

花は心を豊かにするもの

日本に戻り、兄の部屋の遺品整理をしていたときに思い出したのが、叔母の家の寝室にいっぱい飾ってあったドライフラワーでした。
花は心を豊かにする、いいもの。
それまでは生業にしようと思わなかったお花のことを、「自分でやってみよう」と思いました。

自分の「使命」とは

自分が出来ることは自分が歩んできたストーリーと社会課題をリンクさせ解決させていくことだと思っています。
北海道から鹿児島の26の農家さんから廃棄生花を買わせていただいています。
茎が曲がっている、花付きが悪い、見栄えが悪いなどの規格外生花のほか、高齢化が進んで刈り取ることができなかったり、大量に生産しても市場が買い取ってくれなかったりしたお花も買い取らせていただいています。
茎が短い、曲がっているというのは乾かしたときに遜色なく使えます。
同等の価値を付けられるようにドライフラワーの規格をつくろうと活動しています。

田原や豊橋で主に生産されている菊は水分量が多く、現状はお客様に提供できるドライフラワーとは遠く感じています。
ですが、1品種ごとしっかりと向き合い研究を重ねています。
また、いろいろな活動をして解決しようとしていて、その一つが空間デザインです。
空間装飾はお花の使用量が多く、使うのは基本的に規格外のお花です。
施設やフォトウェディング、冠婚にも使わせていただいています。
企業さまのノベルティ提案や移動販売のほか、養護施設や学校でワークショップを開いています。
贈る行為で人の心を豊かにするとともに、廃棄されそうだった花を贈ることで命を巡らせたいと思っています。

「KYOUKA(キョウカ)」は、廃棄生花や規格外のお花をお供えするお墓のお掃除も兼ねたサブスクリプションで、行政ともお話をしながら取り組みを進めています。
エンジニアの岡田さん、山本製作所田中社長と共同でDXにつなげて準備をしています。 お墓を3D化して、お供えするお花も人もデジタル化されていくのではないかという未来も見据えています。

ストーリーを発信していきたい

自分は「生かされている」と感じています。
みなさんから声を掛けていただくことでプロジェクトや出店、ワークショップへ参加させてもらっています。
これからも声掛けがされるように、自分のストーリーを発信していきたい。
生かしてくださる人がたくさんいるので、自分が最大限活動することでみなさんに還元させていただきたい。
そのために、僕はどんどん多動していくのみです。

お知らせ

KAIKA PROJECTという取り組みの一環として、Flower &Craft Marcheというイベントを株式会社オンセブンデイズさんと共同主催しております。

<スケジュール>
10/8 オンセブンデイズ西尾店
10/15 オンセブンデイズ曙店

個人の活動ではなく、いろいろなアーティストの力を借りて花の文化を広げていく活動です。
ぜひ当日会場にお越しください。
仏花、供花のサブスクリプション「KYOUKA」も年内にリリースいたします。
詳しくはInstagramにてDMください。

参加者の声

  • 堀さんは、お金には変えられない温かい心を大切にされている事と 、プロのドライフラワーフローリストとしてSDGsを基にした専門性の高さにも感動しました。
  • とても、刺激を得ることの出来た時間になりました。今後の活動に活かしていきたいです。

次回の『STUDIO Tea talk』

『STUDIO Tea talk #03』は9月17日(土)の10:30からemCAMPUS STUDIOで開催されます。
今回は、Webライターの斎藤あやかさんをゲストにお招きします。
毎月一回のペースで開催しますので、今後もお楽しみにお待ちください!