越境地域政策講演会「デジタル田園都市国家構想」とこれからの地方創生

5月21日(土)、emCAMPUS STUDIO にて愛知大学三遠南信地域連携研究センター 越境地域政策講演会が開催されました。

講師には内閣府 地⽅創⽣推進事務局 内閣審議官(内閣官房 デジタル⽥園都市国家構想実現会議 事務局次⻑)黒田 昌義様がお越しになり、「『デジタル田園都市国家構想』とこれからの地方創生」と題してご講演いただきました。会場には自治会関係者30名ほど、オンライン参加では全国から200名を超える参加がありました。

越境地域政策講演会とは?

愛知大学では、文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」の採択を受け、「『越境地域マネジメント研究』を通じて縮減する社会に持続性を生み出す大学」をテーマとして、越境地域政策を継続して研究しています。

少子高齢化社会のなかで、地方都市は急速な人口減少に直面しています。特に県境の地域はその傾向が顕著に表れています。このような状況に対し、愛知大学では愛知・静岡・長野の県境地域を対象とした「越境地域マネジメント研究」に長年取り組んでいます。

▶ 愛知大学三遠南信地域連携研究センター

▶ 愛知大学越境地域マネジメント事業/アシタシア

「地方創生」のあゆみ

8年前の2014年5月、日本創生会議で、東京一極集中に歯止めがかからなかった場合、将来的に多くの地方都市が消滅するおそれが指摘されました。

「地方創生」をスローガンに「まち・ひと・しごと創生法」の施行など、各地域の特徴を活かした自律的かつ持続的な社会創生を目指す取り組みが各地で始まりました。第2期として、2019年には「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」が策定、2020年には「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が決定されました。東京圏への移動を抑制すること、東京圏から地方への移動・移住を促すことで、出生率の維持・向上と東京一極集中を是正することが地方創生の基本的な考え方です。

「デジタル田園都市国家構想」とは?

これまで進められてきた地方創生の取り組みを踏まえ、交通・農業・産業・医療・教育・防災などの各分野について、デジタルを活用して効果的に地域課題を解決するため、2021年11月より「デジタル田園都市国家構想」の検討が始まりました。全国の事例紹介として、デジタル技術を活かした窓口サービスを促進する兵庫県豊岡市や、障がい者の方の社会参加促進や就労機会の拡大を目的としたテレワークロボットの導入を進める長崎県長崎市などが紹介されました。

関連政策として、スマートシティやスーパーシティによる取り組みや、稼ぐ地域や仕事の創出、地方創生テレワーク、関係人口創出といった様々な政策が展開されています。スーパーシティは国家戦略特区のひとつとして位置づけられ、行政手続・医療・教育・防災など複数の分野にまたがるデータ連携基盤を構築、必要な時に必要なデータを迅速に連携・共有する仕組みを整えます。現在、茨城県つくば市と大阪府大阪市が選出されています。

そして、今年の夏、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた地域の取り組みを競い合う、『夏のDigi田(デジデン)甲子園』が開催されます。各地域の創意工夫による取り組みを横展開し、積極的に推進していく環境整備の一つです。広く国民の関心を高め、様々な主体が参画していくことが期待されています。

▶ 夏のDigi田(デジデン)甲子園

講演後の質疑応答のなかで、東三河地域が位置する三遠南信地域のような広域連携は、地方創生の観点からみても非常に重要な役割を担うと考えられます。コロナ禍で、境界をまたぐ取り組みが難しくなっている局面もありますが、行政境界にとらわれない内発的な取り組みを大切にしていきたいと感じました。


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