『STUDIO Tea talk #05』 ゲストはレコード店店主 平松章也さん

自分らしい働き方や仕事について考えるトークイベント『STUDIO Tea talk』の第5回が11月19日(土)、emCAMPUS STUDIOで開かれました。
今回は音楽が好きな方、好きなことを仕事にしたい方など5名にご参加いただきました。
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平松さんの経歴

ゲストの平松章也さんは豊川市出身。
20代前半からレコード収集の傍らDJ活動を始め、アパレル販売〜介護事務を経て、2020年8月に地元の豊川市でレコード店『LiE RECORDS(ライ レコーズ)』をオープンしました。
タイムレスでジャンルレスな品揃えを心掛け、初心者から玄人まで幅広い客層が集います。
レコードプレーヤーも取り扱い、これまでに100名以上の老若男女がレコードデビューしています。現在は、豊橋市の水上ビルで、リノベーションしながら移転オープンに向けて準備中です。

水上ビルでオープン準備中の『LiE RECORDS』の外観
自らリノベーションして、こだわりのインテリアを実現中です

平松さんが音楽やレコードを好きになるきっかけになったロックバンドのサニーデイ・サービス
ちょうど発売日だったアルバム『DOKI DOKI』のレコードの音色が清々しく、イベントの開幕を彩ってくれました。当日の様子をダイジェストでお伝えします。

「レコードにハマったきっかけは?」

サニーデイ・サービスが主にきっかけではあるんですが、このバンドを知った経緯を説明すると、海外に行っていた友達がいろいろな音楽を聴かせてくれて。
その中に90年代の日本のフィッシュマンズというバンドがいて「これはちょっととんでもないな、音楽」と思って。
20代前半まで人並みに流行りものなんかは聞いていたのですが、基本的に音楽に興味がなかったんです。
フィッシュマンズを掘り進めて、それに派生するバンドを見ていく中で、サニーデイ・サービスに出会いました。
初めて聴いたときに、これだけすっと馴染んでくる。
普通に聴けるとか、自分に消化できちゃうというのがいかにすごいことか。
実は、僕は結構いろんなことに拒否反応を示すんですよ。
お薦めされても、「別にその人が好きなだけでしょ」みたいな感じなんですけど、これだけは一番にすっと入ってきて。
「何がいいんだろう。結構普通なのにな」なんて思いながら、その謎が解けないから毎日聴いちゃって、それが12年前になるんです。

当時、豊川市に住んでいたから図書館でもCDをレンタルして、ライブに行って、初めて物販でレコードというものが売っていたから買って。
それまではレコードって昔の思い出の中のものだったんですけど、なんか大きいし、かっこいいじゃんみたいなところでハマっていきました。

レコードって音がいいとか、温かみがあると言われるんですけど、音を拾っているのは針の先のマイクで、その音をアンプで増幅してスピーカーに伝えています。
つまり、空気の音だったり、溝に刻まれている振動の音だったりを拾っているので温かみがある音が生まれるという理屈だと思い込んでいるんですけど。
デジタルメディアにはない場の空気感という、変なグルーブみたいなものにちょっと魂が入ったような熱量になるのが、レコードの魅力じゃないかなと思っています。

「レコード店を開業するまでの経緯は?」

高校卒業後は、アパレル販売のアルバイトや老人ホームの事務員などをやった後、東京へ行きました。そこで、フジロックに出たこともあるロックバンドの元メンバーと出会ったんです。
大人になって初めてできた友達で、レコード屋を始めることにつながった人でもあります。
一年くらい東京で遊んでいたんだけど、「別に東京にいる意味ないな」という気持ちが芽生えてきて地元に帰りました。
その後、別の老人ホームに勤めたんだけど、ちょっと怒られたのでむかついて辞めちゃったんですよ。
このころ、同時に嫌なこともたくさんあって人生最悪の時期でした。
本当に、自分から老人ホームを取ったらレコードくらいしか残らないと思った。
そこで、レコード屋でバイトしようと思ったんですが、面接で落ちてしまって。
「八方塞がりじゃん!」と思って、東京で出会った元バンドメンバーの友人に泣きついたんです。
だから、「レコードぐらいしか人より秀でたものがないからレコード屋をやりました」ということです。
やりたいことがあって筋道立ててたどり着いたというより、僕の場合は逃げの果てなんです。

レコード屋一本に至るまでの葛藤はかなりありました。
正直、それで食っていけるはずないって全員から言われました。
ただ、紹介してもらった広島のレコード屋さんに相談に行って、「週末だけ働こうと思う」と伝えたら、「それじゃだめだよ。買い取りが集まって来ないから」と言われて。
「これ一本で行ったら、マジでレコード屋になっちゃうじゃん!」と思ったんだけど、翌日予定していた老人ホームの採用面接は断りました。
一度唾つけたんだからもう戻れない状況をつくろう、と。退路を断ちました。
戻ったところで常に不満を感じて生きて、人の幸せを指くわえて見ているのはもううんざりだなって。
1分1秒でも楽しい方がマシ。
どうせ頑張るんだったら、同じぐらいのきついことがあるんだったら、大嫌いなヤツにどむかつくことを言われるより、自分の意思でやったほうが100倍マシじゃないですか。

「どうやって集客してますか?」

今ってSNSが割と主流だから、アイコン的なものが一番重要だと思うんです。
すごくかっこいいロゴを作ろうと思って、コーネリアスのジャケットデザインなどを手掛けた方にお願いしました。
一目見れば、それなりに見てもらえるし、この仕事を引き受けてもらえるっていう、ある程度の信用も得られます。
値打ちがあるようなイメージを抱いてもらえるような工夫をいろいろ考えています。
このトートバッグも名の通った方にデザインしてもらっています。
その筋の人が見れば分かるラインの取り方というか、そのお陰もあってある程度の人から認めてもらえるようになりました。

あと、SNSでフォロワーが「知りたいかな?」というような情報を適度に発信したり、今回のようにレコードに関係なくても依頼があればイベントに出てみたり。
ちょっと前には、銭湯の番台に座りながらレコードを回すってことをやっていました。
広告を打つお金はあまりかけないで、音楽界隈と地域の人に知ってもらえるような手段を講じています。
SNSで心掛けていることは、なるべく短く、どんな人にでも伝わるように、ということです。
一目見て、何か引っかかって来てくれるようなフックになるものを、と常々考えていますね。
言葉のチョイスとか、この写真だったら老若男女が惹かれるかな、とか。
そんなことをやるのは、ちょっと媚びているみたいで好きじゃないんですけど、会社員として働くよりマシだから超がんばっているだけなんですよ(笑)

参加者の声

  • 異業種の方の頑張りのお話を聞けて、本当に良い刺激をいただきました。同じ起業家同士のお話は勉強になり、エネルギー交換になると感じました。
  • これから夢を実現させるヒントをたくさんいただけたと同時に、皆さんととても濃いコミュニケーションがとれて嬉しい気持ちでいっぱいです。

次回の『STUDIO Tea talk』

『STUDIO Tea talk #06』は12月21日(水)18:30からemCAMPUS STUDIOで開催します。
今回のゲストは、コーヒー農園を経営する池島英総さんです。
会社員を辞めて、単身ネパールへ飛び込み、自らの無力さを実感する中で見つけたのがコーヒー豆づくり。
今では6次産業化も手掛ける池島さんのこれまでの道のりや今後の目標などを伺います。

ご興味をお持ちの方はこちらをご覧ください。
次回もぜひご期待くださいませ!


emCAMPUS STUDIO
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