東三河の生産者を知る! 第7弾 スフィーダ/白井陽氏 白井俊充氏 インタビュー

emCAMPUSと関わりの深い生産者さんへのインタビュー企画第7弾は、スフィーダの白井陽さんと白井俊充さんです!

スフィーダさんは農民藝術創造俱楽部メンバーであり、年間100品目以上の野菜を有機・無農薬で栽培しています。今回は新城市の圃場にお邪魔し、お二人のこだわりや挑戦について伺いました。

Qスフィーダを始めた経緯について教えてください

もともと2人とも新城市の出身で同じ小・中・高校を通う幼馴染でした。大学生になり、東京・大阪それぞれ別の進路を歩み、地元を一度離れましたが、将来は地元に戻って働きたいという想いが芽生えました。いざ新城市でどのような職業に就こうか考えた際に、祖父(陽さんの祖父)が農業をやっていたため、その野菜の販売の部分をサポートしようと考えました。しかし祖父の野菜だけで生計を立てるのは困難な点や、地域に対象を広げても、そもそも地元に生産者が少ないという点等様々な壁にぶつかりました。次第に誰かが農業をやらないといけない、という気持ちになり自ら農業に挑戦することを決めました。子どもの時から将来何か一緒にやろうと話していた俊充さんを誘い、二人でスフィーダを始めるに至りました。
現在では地元新城から名古屋まで、様々なレストランやスーパー等に向けて栽培・販売を行っています。苗字が一緒なのでよく兄弟に間違われますが、昔からの幼馴染です!

Q栽培についてのこだわりを教えてください

1番は「美味しさ」へのこだわりです。
1つの野菜でも実、若葉、花、種まで食べることのできる箇所はタイミング毎に様々存在します。スフィーダは野菜の成長過程におけるすべてを味わってもらいたいと考えています。各々の収穫時期もシビアになりますが、手間をかけた先に「美味しさ」があればこだわろうと取り組んでいます。若いからできるだろうと始めた有機・無農薬での栽培も、野菜の全ての部分を美味しく、安全に食べてもらいたいという点で繋がっています。
例えばグリーンピースひとつでも、豆が最も膨らんだ状態での収穫が一般的ですが、本当に美味しいのはその少し前なんです。途方もない作業ですが、ひとつひとつの莢(さや)を振り、カラカラと少し音のするものだけを丁寧に収穫しています。

Q多品種を生産する理由を教えてください

単品目生産の終着点は収量になるイメージがありますが、そもそも土地が大量生産に向いていないことと、収量と美味しさの両立はなかなか難しいと考えているためです。少量でも美味しく生産できる環境を維持しながら、いろんな美味しい生産物を作ってきたいと考えています。また、多品種を生産することはリスクの分散になるというメリットもあります。
今後も珍しい品目に挑戦していき、スフィーダで作る意味のある野菜を生産していきたいと考えています。

Q今後の展望を教えてください

以前からお客さんの口に入る最後をサポートする飲食店をやりたいと考えていました。
そんな中、出荷先であり、スフィーダの野菜を評価してくださっている飲食店さんとコラボし、2023年3月1日豊橋駅前に『ATEGIS』という飲食店をオープンしました。生産者と飲食店は持ちつ持たれつの関係だと思っています。生産者が食材の付加価値を目指して盛り上がれば、飲食店が盛り上がる。逆に飲食店が盛り上がれば、生産者が引っ張られる。その両面で「食」を盛り上げていくべき新たな挑戦です。飲食店経営という未知な領域ですが、価値観の合うシェフたちと楽しみながら挑戦していきたいです。

Qインタビューを通して

とにかくお二人からは農業・食に対して夢中になっているという印象を強く受けました。
もともと大学時代は農業とは全く違う専攻をされていたお二人ですが、農業に触れ合う度にその魅力にハマっていったとのことです。単品目を育てるのも気候の変化等、毎年同じクオリティの生産物を出荷するのは難しいと聞きますが、年間100品目以上を育てているとなると、その手間暇は計り知れないものだと思います。しかし、それを苦としないようなお二人の前向きな姿勢や、その表情に「夢中」という言葉を連想しました。
スフィーダとはイタリア語で挑戦を意味する単語。まだ見ぬ珍しい野菜の栽培から飲食店経営まで、今後もスフィーダさんの挑戦は続く。

過去の生産者さんのインタビューはこちら
第1弾 鈴木農園/鈴木教広氏
第2弾 百年柿園 ベル・ファーム/鈴木義弘氏
第3弾 鈴木製茶/鈴木克也氏
第4弾 らでぃっしゅ屋/富永光昭氏
第5弾 Patch Farm/中川 貴文氏
第6弾 美緑の風ファーム北河/北河氏