東三河の生産者を知る!第9弾 アグリコ/浜田氏 インタビュー

emCAMPUSと関わりの深い生産者さんへのインタビュー企画の第9弾として、アグリコの浜田 昇さんを訪ねました。
浜田さんは農民藝術創造倶楽部のメンバーでもあり、豊橋市内で高糖度ミニトマトのハウス栽培を行っています。浜田さんの育てるミニトマトは糖度「9度」を超え、甘味と酸味のバランスの良さが特徴です。
今回は市内のビニールハウスにお邪魔して、浜田さんのこだわりや挑戦について伺いました。

Q.生産される作物とそのこだわりを教えてください

ビニールハウス4か所、計36aの面積で約4,400本の苗を養液栽培し、1本の苗から2本の枝を伸ばして育てているので、常に8,800本の枝を管理します。
『小鈴』という品種のミニトマトを育てており、「味のコク」「甘味」「皮の厚み」にこだわりながら、高糖度になるように栽培を行っています。
トマトの糖度を高めるための工夫をしており、特に力を入れているのは作物にかかるストレスの大きさの調整です。
トマトの木にかかるストレスが大きいほうがトマトは甘くなりますので、穂先の花が咲く位置や葉の厚みと艶、トマトが色づく前の緑色の濃さなどから判断し負荷を調節しています。
また、肥料の成分・濃さによって結実する実の水分量が変わってきますので、「水々しいけれども、水っぽくない」絶妙なバランスを求めて肥料の量を決めています。
シェフが作る料理と同様に、食べて美味しいミニトマトでなければ、私が作る意味は無いと考えていますので、日々品質の向上に努めています。

Q.この地域を選んだ理由や、苦労した点をおしえてください

10年前に、豊橋市の新規就農支援プロジェクトに応募したことがきっかけです。
新規就農の為に、石川県から引っ越して来ました。

全国でも有数の日照時間を持つ豊橋で育てる作物として、ミニトマトを選びました。
最初の3年間は試行錯誤の連続で、今でこそ笑い話になりましたがトマトの収穫が追いつかず、ハウス内のトマトが実りすぎて「真っ赤な滝」のようになってしまったこともあります。あの頃は、夜中にヘッドライトをつけながら作業をすることもありました。
段々とトマトの栽培にも慣れ、7年目ごろからは1年間の流れがやっとわかるようになってきました。

Q.圃場の特徴を教えてください

ビニールハウスの中で、1年を通して同じ苗のミニトマトを育てています。
枝の剪定を行いながら伸びた茎(ライン)をガイドに巻きつけていきますので、1年間の収穫が終わった際には、1本の茎が15mもの長さになります。
通常トマトをハウス栽培する際には、外気温が上がったタイミングで窓を閉め切ってハウス内の温度を高くして生育を進めていきます。
しかしながら、当園では逆に春先の気温が上がってきたタイミングで窓を開き、トマトの苗木を冷やすようにしています。苗木にかかるストレスを高めることで茎が太くなり、結実するトマトの玉を大きくすることに成功しました。
美味しいトマトを育てるためには、苗木の健康管理が欠かせませんので特に気を使っています。

Q.今後、挑戦していきたいことを教えてください

行っている栽培を元とする技術の蓄積を続けることと、今栽培している『小鈴』とは違う品種のトマトの栽培にも挑戦してみたいと考えています。『イエローミミ』『ラブリーさくら』『ぷちぷよ』など私が育てるとどのように育ってくれるのか楽しみですね。

資材・肥料の高騰による農場の持続化の難しさは、全ての農業に関わる方たち共通の課題だと思います。肥料の配分を変えてみるなど、工夫によって品質を落とさないように持続化可能な農業についても模索をしていきたいと考えています。

インタビューを通して

生産者さんへのインタビュー企画第9弾として、アグリコの浜田 昇さんにお話を伺いました。
新規就農をするために前職を辞め豊橋に引っ越して来られたことや、美味しいトマトを育てるための創意工夫をお伺いし、浜田さんのトマトへの熱量を感じられました。

「生産したトマトをお客様に美味しく食べてもらう」という想いをもった浜田さんは、2022年8月~2023年1月に実施された「農家×飲食店 地産地消活動推進プログラム(Farm to Table)」内の「新メニュー開発」にご参加されるなど、トマトのもつ可能性の追求を行っています。

また、浜田さんは5月13日(土)に開催された「Farmers CollectionVol.06」にも出演され、高糖度ミニトマトを使った浜田さんならでの生産者ご飯をご提供いただきました。

料理人×生産者 豊橋新メニュー10品を披露! ~地産地消活動推進プログラム~

過去の生産者さんのインタビューはこちら
第1弾 鈴木農園/鈴木教広氏
第2弾 百年柿園 ベル・ファーム/鈴木義弘氏
第3弾 鈴木製茶/鈴木克也氏
第4弾 らでぃっしゅ屋/富永光昭氏
第5弾 Patch Farm/中川 貴文氏
第6弾 美緑の風ファーム北河/北河氏
第7弾 スフィーダ/白井陽氏 白井俊充氏
第8弾 チロルの農園/岩瀬氏